流鏑馬の魅力
乗馬では常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)という3種類の歩様を使い分けます。その中でいちばん速いのが駈歩です。
ところが流鏑馬では駈歩よりさらに速い襲歩(しゅうほ)という歩様で走ります。競馬でいう「ギャロップ」。最高速度で駆け抜ける馬を見るだけでも十分に迫力がありますが、さらに馬上の騎手が矢を放ち、的を射抜くのですから見ごたえあります。日本古来の武芸ということもあり、儀式や所作にも厳然とした作法あります。馬や騎手の装束も、凛として古式ゆかしいものです。
かつては日本各地の祭や行事として行われていた流鏑馬も、今ではなかなか見ることができなくなりました。十和田乗馬倶楽部では、和式馬術に憧れる有志が、和種の保存活用と、スポーツ振興の一環として競技流鏑馬を奨励しています。
競技としての流鏑馬
伝統的な流鏑馬界には封建的かつ封鎖的な規律があって、一般人が容易に愛好できる環境とは言えません。また寺社への奉納行事として披露することが多いため、実践的な色あいが薄まり、様式が重んじられています。つまり的を正確に射抜くこと以上に、儀礼や所作が重視されてるのです。馬も、和式馬術とはほど遠い洋種馬が用いられることが多いです。
2002年7月、全国の流鏑馬愛好者が集まって流鏑馬競技連盟が創設され、北海道芽室町で初めての流鏑馬競技会が開催されました。競技としての流鏑馬は、射法や儀式的な部分を重視せず、純粋に的中率が競われます。
普及を第一の目的としているので、馬具や騎手の装束に関しては細かく規定されていません。ただし原則として馬は和種または和種系であることが決められています。
桜流鏑馬の競技規定(2021年)
【参加資格】
初級:上級・中級以外
中級:公式大会初級優勝経験者または流鏑馬ライセンス2級取得者
上級:乗馬インストラクターもしくは各クラブ推薦者
団体戦:一団体は、団体戦出場資格保有者2名(2頭)で構成
※一社)日本流鏑馬競技連盟公認の安全講習会(流鏑馬クリニック)を受講していること
※一社)日本流鏑馬競技連盟加盟の団体、個人であること
【エントリー料】
個人戦:(初級)8,000円・(中・上級)12,000円
団体戦:4,000円(一団体)
【出走】
個人戦:(初級)2走×2日間・(中・上級)3走×2日間
団体戦:2走×2日間
【規定タイム(上限)】
初級:17秒
中級:14秒
上級:12秒
団体戦:17秒
【規定タイム(下限)】
全種目において走破タイムが9秒未満の場合は失権となる
【弓】
初級:8kg
中級:8kg
上級:10kg
団体戦:個人戦と同様
【矢】
初級:2枚羽使用可
中級:2枚羽使用可
上級:3枚羽のみ使用可
団体戦:3枚羽のみ使用可
※長さは鏑を除き90cm以上
【口取り】
初級:可
中級:可
上級:不可
団体戦:不可
【的指定(点数)】
初級:1的目(中10点)・2的目(中10点) ・3的目(中10点)
中級:1的目(中10点)・2的目(中10点) ・3的目(中10点)
上級:1的目(中10点)・2的目(下20点) ・3的目(中10点)
団体戦:1的目(中10点)・2的目(中10点) ・3的目(中10点)
【順位】
的中点数により順位を決定。的中点数が同点の場合はタイムの速いほうを上位とする。
【表彰】
初級:総合1~3位に賞状と賞品
中級:総合1~3位に賞状と賞金、各日1~3位に賞状
上級:総合1~3位に賞状と賞金、各日1~3位に賞状
団体戦:総合1~3位に賞状と賞金
【特別賞】
審査員特別賞(新人賞・弓使い賞・安全騎乗賞)ならびに一般投票にてベストドレッサー賞を決定。賞状と賞品。
1 競技馬
和種、和種系を基本とする。馬の大小は問わない。必ず伝貧検査を受けていること。
2 馬装
和ハミ、和鞍、和鐙とし三懸(面懸、胸懸、尻懸)を基本とするが、最低限三懸を着用のこと。
3 服装
①和装とし、プロテクターの着用が望ましい。
②頭部にはヘルメット又は安全帽(顎紐付き)に準ずるものの着用を義務とする。
※上記規定に違反した場合、安全確保の為、競技への参加を直ちに中止します。又、その際のエントリー料及び借馬料の返金はありません。
4 競技場
一社)日本流鏑馬競技連盟の規定を基に設定する。
①走路180~200m
②走路幅1.8m~2.5m
③的は50~60m間隔で3個
④的までの距離3~4m
⑤的の高さ1.5m~2m
5 弓具
①弓は和弓、重さ(強さ)は上級は10kg、中級と初級は8kgを上限とする。
②矢の長さは鏑を除き90cm以上で角がなく直径3cm以上の木製鏑矢とする。
※競技日の朝、確認を行います。
※上記規定に違反した場合、安全確保の為、競技への参加を直ちに中止します。又、その際のエントリー料及び借馬料の返金はありません。
6 タイム
①タイムは第1的から第3的までの間のタイムを計測する。
②計測タイムが規定タイム以上または9秒未満の場合、失権(無得点)となる。
③団体戦は、先頭馬のスタートから後尾馬がゴールするまでのタイムを測定する。
7 審判
審判長及び、馬溜り・馬止めに審判を置き、その指示に従うこととする。
※指示に従わない場合、競技への参加を中止させて頂くことがあります。
※人馬共に危険と判断した場合には出場を取り消させて頂く事があります又、その際のエントリー料及び借馬料の返金はありません
8 失権
①スタートからゴールまでの地点で馬が止まるまでを競技中とし、その間での落馬は失権(無得点)となる。
②団体戦において、1の的から3の的の間での追い越し・併走は失権(無得点)となる。
9 発進
上級の部・団体戦は、審判の合図から45秒以内に走路入り口(1の的の手前25m~30m)を通過しなければならない。
規定時間内に通過できなかった場合、失権(無得点)となる。
10 口取り
上級の部・団体戦は口取りの補助は不可とするが、中・初級はこの限りではない。